ナイトライダー風自作5インチベイとその作り方
概要
以下のような5インチベイを自作しました。
Knight 2000 5inch bay - YouTube
電源を入れると、ナイトライダーのナイト2000のように6つのLEDが順番に光ります。
以下で、このベイの作り方を説明します。
ことのあらまし
私のコンピュータの1台には、問題がありました。
- 5インチベイが空いている。ケースに付属していたはずのブランクパネルはどこかにいってしまった。
- 電源ランプが弱く、ほとんど見えない。電源がONなのかどうか分からない。
この2つの問題を同時に解決する方法として、5インチベイに常時点滅するLEDを設置することを思いつきました。どうせ作るなら、ナイトライダーみたいに格好良くしようと思いました。5インチベイを自作するなんて楽しそうです。
なお、隣の空いている3.5インチベイには、後ほどMOドライブを入れるつもりなので、今回は問題にしません。
材料
回路
キット
LEDの制御回路には、下図の市販されているナイトライダーキットを使います。
その他の回路部品
ナイトライダーキットは、説明書どおりには組み立てず、改造を施しました。そのため、以下の部品を用意しました。
- 高輝度赤色LED: 6本
- LED光拡散キャップ(白色): 6個
- ボリューム(1Mオーム、Bカーブ)
- その他: L字のピンヘッダ、コネクタ、ケーブル、つまみ
構造体
構造体には、以下の2つを使用しました。
- 厚さ3mmのプラ板
- 5mmの三角棒
楽しい工作シリーズ No.147 プラボード3mm厚B4サイズ 1枚入 (70147)
- 出版社/メーカー: タミヤ
- 発売日: 2009/06/23
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楽しい工作シリーズ No.118 プラ材5mm三角棒 5本入 (70118)
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プラ板の厚さを3mmにしたのは、様々な理由によります。これらは順次説明します。
三角棒は、今回以外の工作に使用することを見越して選んだのですが、この5インチベイだけを作るのであれば、角棒を使った方がよいと思います。理由は、三角形だと接着時に向きを考える必要があり、うっかり失敗してしまいそうだからです。角棒なら向きはありませんので、注意することが減ります。また、角棒の方が値段が安いです。
楽しい工作シリーズ No.131 プラ材5mm角棒 6本入 (70131)
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塗料
塗料には、タミヤのマットタイプの黒色を使用しました。今回のベイを組み付けるPCの筐体の色が、これに近かったためです。
タミヤスプレー No.06 TS-6 マットブラック 85006 【HTRC 2.1】
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接着剤
接着剤は、タミヤの以下のものを使用しました。これは以前ターンテーブルを作ったときに使用しましたが、瞬間的に強く接着でき、気に入っています。
ペリフェラルケーブル
最後に、回路に電源を供給するためのペリフェラルケーブルが必要でした。このケーブルは、再利用できないほどばらばらになります。
組み立て
キット
まず、ナイトライダーキットを組み立てます。キットの組み立て方は、キットの説明書に書いてあるので、省略します。キットは、独自の改造をした結果、最後に以下の様になりました。
改造内容を、以下にまとめます。
- 点滅の速さを調整する半固定抵抗を、ボリュームに交換しました。
- LEDを高輝度のものにしました。LEDには、光拡散キャップをつけました。
- LEDは基板に直に設置せず、ケーブルで基板と繋げました。基板には、L字のヘッダピンをつけ、LEDのケーブルには、コネクタをつけました。
- 電源ケーブルの先端を、ペリフェラルコネクタにしました。
LEDを高輝度のものに交換し、光拡散キャップをつけたのは、以下の理由によります。
- PCを横から見ることが多いため。問題のPCは、私の机の隣の棚の下の方に置いてあります。このため、正面からしか光が見えないキットに付属のLEDは、使えません。
- LEDの先端しか見えないため。実際に光るLEDの根元部分は、PCに組み付けたときに横から見ると、フロントパネルに隠れて見えなくなります。
なお、拡散キャップが(赤色ではなく)白色なのは、単に赤いキャップがあるのを知らなかった、というだけです。
ペリフェラルコネクタは、既存のものを切断して流用しました。黄色いケーブルが12V, 黒いケーブルがグラウンドです。
あと、このキットを組み立てている途中、基板のパターンがはがれるなどの問題が複数箇所で発生しました。これらの問題を解決するため、ケーブルで応急手当てをしました。基板の中央に見える、黄色や緑や白のケーブルがそれです。これらのケーブルは、ICの足などに直接ハンダ付けされています。
フロントパネル
厚さ3mmのプラ板から、フロントパネルを作成します。フロントパネルの厚さを3mmにしたのは、表面の凹凸を小さくするためです。もしここに厚さ1mmのプラ板を使用していたら、LEDの頭が出っ張ります。これはみっともないです。そこで厚さを3mmにし、LEDのほとんどがフロントパネルに埋まるようにしました。
加工
次にプラ板を切り出し、中央に6つの穴などをあけて、フロントパネルを作成しました。完成したパネルは、以下のとおりです。LEDの高さは、真ん中から少し下のあたりにする方が、落ち着いていいと思います。
各寸法は、以下のとおりです。寸法が記入されていない箇所がありますが、対称性から明らかだと思います。
寸法の決定には、使われていないCD-ROMドライブが参考になりました。
フロントパネルで注意すべき点は、LEDの穴の径が3.5mmだというところです。LEDの頭の直径は3mm (正確には2.94mm) で、普通なら直径3mmの穴に入りますが、今回は光拡散キャップをはめるので、3mmの穴には入りません。
なおこの工作では、図面も書かず、メモもとらずに作成したため、この記事中の寸法は、間違っている可能性があります。
塗装
次に、フロントパネルを塗装しました。塗装前には、念のため、後の工程で接着剤をつける部分をマスキングテープで保護しました。
以下のように塗装できました。
私は側面も塗装しましたが、これは正解でした。PCに組み付けたとき、フロントパネルの側面が見えるからです。
なお、マスキングテープの効果は、以下のとおりです。
テープで保護したところと、塗装中の持ち手にした割り箸をつけていた箇所は、塗料がかかっていません。とはいうものの、塗料が接着剤にどれくらい影響するかは知りません。実は、マスキングする必要はなかった可能性もあります。
サイドパネル
切り出しとネジ穴
側面のパネルを2枚、プラ板から切り出しました。
寸法は、以下のとおりです。開いている穴は、ネジ穴です。
ネジ穴の水平方向の位置が指定されていませんが、忘れてしまいました。もしあなたが同じものを作るのなら、ご自分のPCで現物合わせをしたらよいと思います。
一般的に、1段のベイにはネジ穴が2段ついていますが、今回はそのうちの上段を使用しました。下段は、補強材などのためにネジ穴があけられない可能性があったためです。
このベイに厚さ3mmのプラ板を使用することに決めた最大の理由は、この側面のパネルにネジ穴を切るからです。3mmくらいないと、十分な数のネジ山ができないだろうと推測しました。しかし、厚さ1.2mmのプラ板にネジ穴を切ったら、ちゃんとしたネジ穴になったので、もしかしたらもっと薄くてもよかったかもしれません。強度上は、どうなのか分かりませんが。
最後に、簡単ですが、ネジ穴の切り方について簡単に説明します。ネジ穴は、以下の手順で切ります。
- ドリルで下穴をあける。
- タップでネジ山を切る。
私が今回使用したタップは、以下のものです。
このパッケージに、「下穴ドリル2.5mm」と指定されているので、まず2.5mmの穴をあけます。その後、その穴にタップを差し込み、回しながらネジ山を切ります。
タップを回すときは、普通は「タップハンドル」という道具を使うのですが、今回はタップハンドルを買う費用をケチって、用意しませんでした。タップを手で回したのですが、ちゃんとネジ山を切ることができました。
また、3つのタップを使って、3段階で徐々にネジ穴を切る場合もあります。むしろ、そちらが一般的でしょう。
補強材を組み付ける
それぞれの側面パネルの端に、垂直に三角棒の補強材を接着します。三角形の向きに注意してください。
さらに、下部にも補強材をつけます。同様に、三角形の向きに注意してください。面が上を向いています。この上に底面を載せるためです。
この2枚は、同一のものではありません。鏡面対称になっています。
底面
底面を切り出します。4つの穴は直径3mmで、回路を固定するのに使用します。
寸法は、以下のとおりです。穴の場所が指定されていませんが、現物合わせをしたため、はっきりした寸法はありません。
なお、この底面には厚さが1mm程度のプラ板を使うべきです。理由は、スペーサーのネジが無駄になるからです。普通、基板のスペーサーにはネジがついていますが、一般的にこのネジの長さは3mmだと思います。これでは厚さ3mmの底面を貫通することができないので、別途長いネジを用意する手間がかかります。強度上も、厚さ1mmで問題ないと思います。加工も簡単ですし。今回の場合、この問題に気がついたときが遅かったため、3mmの板を使い続けました。
組み立て
これまで作った部品を組み合わせました。まず、フロントパネルに、側面パネルを接着しました。
フロントパネルの下部に、補強材を取りつけました。分かりにくいかもしれないので、写真を2枚掲載します。
次に、底面を取り付けました。
続けて底面に回路を取りつけました。LEDやボリュームもフロントパネルに取り付けました。
裏から見ると、以下のように、ネジ頭があります。このため、底面の下には空間が必要です。
LEDを取り付けるときには、接着剤は使用していません。摩擦だけで十分固定できました。
これでベイは完成です。正面から見ると、以下のようになります。
PCへの組み付け
完成したベイをPCに組み付けます。プラ板にネジを切っているので、ネジ山の強度は弱いです。ネジを強く回してはいけません。
ここでひとつ問題に気がつきました。電源ケーブルが垂れる場合、その重さを基板のハンダで支えることになります。これは問題だろうと思い、このベイに繋がる電源ケーブルをインシュロックで適当に固定しました。
これで完成です。
電源をつけてみたところ、期待通り、横からもLEDの明滅が分かります。
課題
強度
今回はプラ板にネジ穴を切りましたが、強度の面でこれは不安です。側面パネルの内側に強い部材をはり、そこにネジ穴を切るという方法があると思います。
既製品の改造
5インチベイにちょうど収まるサイズのケースなんて既にあるのではないかと思い、千石電商などを探したのですが、見つかりませんでした。そういう需要って、ないんでしょうか。
もし既製品を改造するなら、5インチベイに入れる小物入れがいいかもしれません。今回作ったような、見た目がのっぺりしたものはないようですが。