冲方丁「冲方丁のライトノベルの書き方講座」宝島文庫
はじめに
rakuten:book:12922322:detailは、タイトルこそ「ライトノベルの書き方」となっていますが、マンガといった他の分野でのストーリー作成でも参考になります(というか、そもそもこの本は「冲方式ストーリー創作塾」の文庫版です)。特に「5時間目 こんな風に言われたんですが」の章は役に立つと思ったので、以下にまとめます。なお、以下にはこの本の内容だけでなく、私の意見も混じっています。
「説得力がない」と言われました
- 自分から反対意見を提示する。
- 「ありえないんだけど、xxx」
- 「信じられないんだけど、xxx」
- 「馬鹿馬鹿しいんだけど、xxx」
- 登場人物たちに、疑問を抱かせ、対立させ、口論させ、疑問を解消して説得力を演出する。
- は、これの典型例?
- 「好き」という気持ちを強調するために、「嫌い」から始める。
- 真意と逆のひねくれた意見を言わせる。
- 美味しいのに「まずい」と言う。
- 「本当は美味しいと思っているんじゃないのか?」と読者に思わせる。
- 美味しいのに「まずい」と言う。
「リアリティがない、作品にのめり込めない」と言われました
- 作品内で最低3つの常識をつくる
- 例1
- 絶対にしてはいけないこと
- 普通はやらないこと
- 誰でもやること
- 例2
- 可能であれば誰もがやること
- 可能であっても誰もやらないこと
- 可能であるということ自体誰も考えないこと
- 例3
- 絶対に起こらないこと
- 普通は起こらない珍しいこと
- いつものこと
- の「ロボット三原則」もこれに該当する?
- 舞台を事細かに描写したところでリアリティが増すとは限らない。
- 例1
「意外性がないよ」と言われました
- ミスリードする。
- 引っかかりやすい間違いを用意する。
- 別の話題を持ってきてごっちゃにする。
- 絶対に分からないことを、もう少しで分かるんじゃないかと思わせる。
- 簡単な問題を、難解に思わせる。
- 「絶対に起こらないだろう」と思わせておいて、起こしてしまう。
- 例
- 作者: 綾辻行人
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1991/09
- メディア: 文庫
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- 作者: 綾辻行人,佐々木倫子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/08/10
- メディア: コミック
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「意外性がないよ」と言われました (2)
- 落ち着きがない人になる。
- 変なものを文章に混入する。
「君の作品には目新しさがない、面白味がない」といったことを言われました
- 組み合わせる
- 魔法使い + 借金取り = 「魔術師オーフェン」
- 宣教師イグナチウス(イエズス会の創始者) + カポエラ =
- 作者: 冲方丁,伊藤真美
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2002/05/29
- メディア: コミック
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- ドラゴン + ボール
- 名探偵 + コナン
- もののけ + 姫
- 少林 + サッカー
- 戦国 + 自衛隊
- 最終兵器 + 彼女
- 男 + 塾
- 終戦 + ローレライ
- ネガティブ + ハッピー + チェーンソーエッジ
- 蛇 + ピアス
- 仁侠 + 人魚 =
- 作者: 木村太彦
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2003/03/27
- メディア: コミック
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- 撲殺 + 天使 =
- 作者: おかゆまさき,とりしも
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2003/06
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- の「コミック前のめり!」にも、組み合わせに関する記述がある。
the Sneaker (ザ・スニーカー) 2008年 06月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
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- ビン・ラディン + 日暮里
- 作者: しりあがり寿
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/07/19
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- 関係性の遠い二つのものを組み合わせる。
- お母さん + 落ち武者
- OL + ヒゲ
- 作者: 中村光
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/01/23
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- ブッダとイエス + 立川でアパート暮らし
- 過剰にする
- 人物を過剰にする
- 性格
- 動機
- 生い立ち
- 行為を過剰にする
- 弁慶
- 刀一本を3kgとして、100本で300kg.
- 仁王立ち
- 義経
- 八艘飛び
- 弁慶
- 現象を過剰にする
- 大きさや範囲がエスカレートする。
- 数を過剰にする
- 何らかの生き物の大群
- 殺人鬼の被害者数
- 若すぎる
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- 12人の妹
- 一分間に二千発
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- オーディオコメンタリーで、存在しないはずの生徒達が出てくる描写を、水島努が「コピー・アンド・ペースト・ギャグ」と呼んでいた。
- 描写を過剰にする。
- 部分的に詳しく書き込む。
- 人物を過剰にする
- 不足させる
- 人物を不足させる
- 「オズの魔法使い」
- 心がない
- 頭が悪い
- 勇気が欠けている
- ピーターパン
- 歳をとらない
- ピノキオ
- 肉体が人間ではない
- シンデレラ
- 身分が低い
- 「シンデレラ(灰かぶり)」とは、かまどの番をする女性のこと。
- 「ファインディング・ニモ」
- 片方のヒレが欠けている。
- 作者: 荒川弘
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- 片足
- 片腕
- 肉体がない(空っぽの鎧)
- 「オズの魔法使い」
- 数を不足させる
- 作者: 木屋進
- 出版社/メーカー: 日本文芸社
- 発売日: 1965
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- たった七人
- 使命感
- 悲壮感
- あと三発しか弾がない。
- 手持ちの金が115円。
- 物語を不足させる
-
- オチを書かない。
-
- 文章を不足させる
- 人物を不足させる
- 逆転させる
- 混ぜるな危険 <-> 混ぜろ安心
- 人物の立場を逆転させる。
- 目的を逆転させる。
- 衣服を逆転させる。
- 言動を逆転させる。
- 性格を逆転させる。
- 物語を逆転させる。
- 「メメント」
- ラストから始まって、時間を逆行する。
- 「メメント」
- 文体を逆転させる。
- 「やったよ、これを、俺は、ついに、今」
「インパクトがない」と言われました
- 「すごい」と思わせることを考える。
- 「過剰」の極大版
- 「こんなものに、これほどにこだわるのは、お前だけだろう」と相手に思わせる。
- 作品を、何かについて過剰にする。
- 一つのことに集中してこだわる。
- 物語が破綻するくらいでもよい。
- 綿密と言われることもある。
- 緻密と言われることもある。
- 自分なりの角度で作る。
- 簡単な方法なので、工夫しないとありきたりになるという意味か?
- あらゆるものに意外性を与える。
- 「逆転」の極大版
- 倫理観を逆転させる
- 近親相姦
- 同性愛
- 殺人鬼を主人公にする。
- 作者: 石原慎太郎
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- 読まなくてもよい
- もっとも単純な方法であり、古臭く、あまり薦められない。
「感情移入できない」と言われました
- 苦しい場面で感情移入させるとよい。
- 苦しみ
- 四苦八苦(仏教用語)
- 四苦
- 生きること
- 老いること
- 病になること
- 死ぬこと
- 八苦
- 四苦に別の四苦を加えたもの
- 愛別離苦(あいべつりく)
- 愛する者と別れること
- 怨憎会苦(おんぞうえく)
- 憎む者と会うこと
- 求不得苦(ぐふとくく)
- 求めるものが得られないこと
- 貧困
- 飢え
- 地位
- 名誉など
- 求めるものが得られないこと
- 五陰盛苦(ごおんじょうく)
- すべての思念や感覚などから生まれれる苦しみ
- 四苦
- 四苦八苦(仏教用語)
「文章が下手だ」と言われました
- 気にせず、技術を高めること。
- 既存の小説をいじる
- 写す
- 削る
- 増やす
- 文体を変える
- 輪読する
- 自分の小説をいじる
- はっきりさせる
- 話題を整理する
- もっとも大事なもの
- 中間
- もっとも大事でないもの
- 話題を整理する